{{wairo:book-mizu.svg? 36&nolink}} ====== PDF(確率密度関数) ====== {{fa>mail-reply?16}} [[:index.html|Home]] ---- ===== PDF とは ===== **確率密度関数(PDF: Probability Density Function)** は、 連続型の確率変数において「ある値の周辺にどの程度確率が集中しているか(≒確率の濃さ)」を示す関数です。 > ※連続分布では「ある一点の確率」は常に 0 > ⇒ その代わり、ある範囲に属する確率を考える(=PDF を積分) * PDF が高い ⇒ その周辺で観測されやすい * 面積(積分) ⇒ その範囲の確率 ===== 数学的定義 ===== 確率変数 $( X )$ の PDF を $f(x) $ としたとき: $$ P(a \leq X \leq b) = \int_a^b f(x)\,dx $$ つまり: * 範囲 [a, b] に入る確率は、PDF 曲線下の「面積」 * PDF の値そのものは確率ではない(注意) ===== PDF の性質 ===== ^ 性質 ^ 内容 ^ | $f(x) \geq 0$ | PDF(確率密度関数)は常に 0 以上(負の確率は存在しない) | | $\int_{-\infty}^{\infty} f(x)\,dx = 1$ | 全体の面積(確率)は 1 | | $P(X = a) = 0$ | (連続分布では)点の確率は常に 0 | ===== 代表的な PDF ===== ==== 正規分布 ==== $$ f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}} \exp\left(-\frac{(x - \mu)^2}{2\sigma^2}\right) $$ * 平均 $( \mu )$ * 標準偏差 $( \sigma )$ * 中心に山を持つ左右対称の分布(釣鐘型) ==== ヒストグラム ==== * 実測データのヒストグラムは、PDF の近似的な表現 * KDE(カーネル密度推定)を用いると、なめらかな PDF を描画可能 例(Python / seaborn): import seaborn as sns import matplotlib.pyplot as plt sns.kdeplot(data, bw_adjust=0.5) plt.title("PDF の推定(KDE)") plt.show() ===== PDF と CDF の違い ===== ^ 概念 ^ 内容 ^ | PDF \( f(x) \) | 確率の密度(グラフの高さ) | | CDF \( F(x) \) | その点以下の累積確率(面積) | | 関係式 | \( F(x) = \int_{-∞}^x f(t) dt \) | ===== 応用(ERI Project) ===== * ERI 地震解析における PDF の活用例: * Δt(発生間隔): * 逆ガウス分布のような形状になることが多い * ΔE(エネルギー差): * やや広がりのある非対称な分布 * Energy(地震エネルギー): * 右裾の長いパレート分布型など * PDF を可視化することで: * データの集中度や外れ値の傾向が一目で分かる * 理論分布との適合性の確認が可能 ===== まとめ ===== * PDF は確率の密度(高い=観測されやすい) * PDF の積分が確率(全体面積は 1) * 点の確率は常に 0(連続分布の特徴) * ERI 分析では Δt・ΔE・Energy などに必須 ----- {{fa>mail-reply?16}} [[:index.html|Home]]